六月に英国旅行に行ったとき、友人二人が録音用に「MDウォークマン」をそれぞれ持ってきていた。帰国してから、そのときのコピーをテープで貰ったが、当日、数メートル離れた状態で録音していたにもかかわらず、実に明瞭にキャッチしていたので驚いてしまった。
普通、録音は、しゃべる人の口先30センチぐらいで採るのが望ましい。つまり出来るだけ近くでとるほうがいいのである。ところが、この時は、数メートルは離れていたにもかかわらず、しっかり採れていたのに本当に感心した。
さて、七月末には毎年「MG学会」がある。学会を前に、7/19に、近くの電気店に行き、講義録音用に、ソニーのMDウォークマン(MZ-R91、28500円)を買った。びっくりしたのは、録音機なのに、入力用のマイクもなければ、出力用のスピーカーもない。いずれも別売りである。とりあえず、この日は、小型マイクだけを7000円で買って帰った。
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さて、この一年半ばかり、ずっと毎月二回ハワイアンを習いに行っている。その録音を、ずっとビクターの小型ラジカセ(横25センチ)でやってきたのだが、これがMDに切り替えられたら、「小型軽量高性能」になる、と思って、この日、合計39800円ほどの買い物をしたわけである。
さっそく、このマシンを翌々日7/21にハワイアンの先生宅に持って行った。マイクがころころして使いにくかったが、音だけは一応良い音で録音できた。
ところが本番の7/29、MG学会のときには、どうしたことか、ウンともスンとも言ってくれなくて失敗。翌日になって動かしてみるとちゃんと録音出来たので、あれはいったい何? ということがあった。
それからも二三回、ハワイアンの練習に持っていったが、いかにも、その度にマイクを繋ぐというのは面白くないし、帰宅してからも、再生がうまく行かない。イヤホンなら付いているが、ハワイアンの練習というのは、再生しながら楽器を合わせて弾くわけで、音が出ないことには、どうしようもない。
そのスピーカーがわが家には、ちょっと良いものがないのである。
それで自然に使わなくなり、ハワイアンの練習には、またもとのかさばるテレコを持って行くようになってしまった。
あらためて調べてみると、70000円ほど出せば、MDビジネスレコーダーMZ-B3(69000円)があるらしい。マイク、スピーカー内蔵である。これだ、僕が欲しかったのは!
これだと、テレコなみに即録音、即再生が可能である。WMのように、いちいちマイクを繋いだり、スピーカーを繋がずに済む。
考えてみると、WMというのは、録音も無し、再生もイヤホンのみ、ひたすら「小型軽量」だけを追求したものだったのだ。「高性能」のところで、録音再生の内蔵は抜いてあったのだ。
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さて、あれは、今月になって、11/16のことだった。仕事の谷間で、珍しくひまな時間が取れたので、最近気が付いていたビデオカメラの修理に、実に十数年振りにソニー本社を訪れた。
ソニーサービスの塚田さんは、なかなか親切な男で、目の前で、なくしたネジを修復してくれた上に、「修理代はただ!」と言ってくれた。
ふと後ろを見ると、店の壁に、ソニーの最新カタログが各種おいてある。
待ち時間にテレコのカタログを取って、「MDビジネスレコーダー」のところを開いてみると、なんと、MDレコーダーが新型化されて載っているではないか!
そのスタイルの良いこと、デザインの優れていること、しかも値段が47000円と、以前の2/3ぐらいに引き下げられている。「近日発売」。これはすごい!
この技術革新のカタマリのようなMZ-B50(47000円)を買うか?それとも、「ビジネステレコ」で、同様にデザインの優れたTCS100(23000円)を買うか。それとも、ステレオ録音、ステレオ再生の2スピーカー内蔵の「おけいこテレコ」TCS-60(17500円)を買うか、かなり悩んだ。
あくまでもハワイアン練習のことを考えると、ビジネステレコの出力70ミリWはいかにも弱い。夢のマシンは、かなり高額だ。それに引き換え、このおけいこテレコは、2スピーカーで160ミリW*2個内蔵で、電気店で1.4万はという安価は魅力だ。
さんざん迷ったあげく、この日、東京駅のさくらやで、TCS-60を買って帰った。
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話は、そこで終わらなかった。
翌11/17、山形のクリエス精機見学のあと、清水ノブさんの日産車で仙台へ走って行きながら、以上のいきさつをおしゃべりしているうちに、やはり何としてもあの夢のマシン、ソニーらしい技術革新の結晶を買わない手はないという気が強くなってきた!
東京へ帰って、平日MGの時に、近くのLaOXへ行き、「お宅では、二割引けますか?」ときくと、一割五分までだという。まぁいいか、とその場で注文して、月曜日ついに入手した。
これはたしかに良い。
・小型 Yes.
・軽量 Yes.
・高性能 Yes.
・デザイン Nice!
ステレオマイク内蔵、再生スピーカー内蔵、取り扱いやすさはテレコなみ。音質は最高。音量も、300ミリWで十分である。
あとは、外部スピーカーとして、アクティブ・スピーカーを付ければ言うことないのだが、それは別段急ぐこともない。
いま、このMZ-B50(47000円)で、7/21のタヒチアンの練習風景を流しているが、するどく澄んだ音は楽しい! 突然、携帯が鳴ったので、携帯はどこかとウロウロ探してみたら、なんだ、MDの中に録音された音だった。それぐらい、臨場感がある。
テープからMDへのグレードアップが納得される一品である。
(KK西研究所・所長 西 順一郎)