ひょんなことから、、

名古屋MGからの帰り、2121東京着の「のぞみ」から降りて、京浜東北線の座席に座った途端に「あ、先生!」と声を掛ける人がいた。見ると、まじゅろさんこと太田秀和さん(45)。
彼も、同じ「のぞみ」で、大阪から仕事で上京、わが家と同じ大井町の阪急に泊まると言う。
これがきっかけで、2/22朝1000からのマックワールドエキスポのキーノート・スピーチをやるスティーヴ・ジョブスを聞きに行くことに決まった。
スティーヴ・ジョブス(45)と言えば、アップルの生みの親として、誰知らぬものもない。

 アップルは77年に、「アップル2」という小型高性能、好デザインのパソコンを出し、79年に「ビジカルク」という初めての「表計算ソフト」を得て、パソコン界のナンバーワンになった。
で、次は何をしようかというときに、S.ジョヴスは、ある日一人で、近くのゼロックス社パロアルト研究所(PARC)に行き、「ALTO」という非IBM系、非キャラクターモードの、夢の次世代コンピューターのデモを見せてもらった。
ウインドウ/ビットマップ方式/マウス/フォントなどを見て、ジョヴスは徹底的に感動した。数日後、今度は仲間数人を引き連れ、2-3台の車に分乗して、再びPARCを訪ねる。
そして、2.5年の月日と、200人のエンジニア、200億円の開発費で、83年にLISA、84年に、本命の小型Macを発売する。
Lisaは高価で失敗したが、Macはアメリカ人の芸術好き、ソフト好き、遊び好き、ゲーム好きにうまくマッチして、あっというまに大ヒットした。
ビジネス用としても、前のビジカルクのヒットに気をよくして、エクセルをマイクロソフトに発注した。

  以上のことから、Macは、実はPARCの夢の現実化の流れである。
しかも、PARCの優秀な開発者たちを引き抜いて作っているので、短時日のうちに、理想的な0Sを作ることが出来た。
これを見て、MSのビル・ゲイツは、いつまでもBASIC、いつまでもMS-DOSではないと、大馬力でMacを追尾したが、どっこいそうは問屋が卸ろさなかった。
何と十年近くかかって、ウインドウズ3.1そして95を作ることが出来た。
世の中は、良いものがヒットするとは限らない。坂村健の本にだったか、「ウインドウズの1000倍良いのがMac、Macの1000倍良いのがTRON」とあった。

大迫力のデモンストレーション

さて、S.ジョヴスも、75年のときは20才、今や45才のおじさんである。
今回は、MacOS-Xの発表(近日発売)と、それに伴うノートMacの新型「パワーブックG4」、あとはi-Movie、i-Tunes、i-DVD等の発表である。
彼は、幕張の大イベントホールに詰めかけた数千人のMacファンたちに、圧倒的な馬力で次のように説明した。
1980~1994は性能アップと表計算ソフト等による「生産性アップの時代」であった。
次の1995~2000は、「インターネットの時代」であった。
そして、今年2001からは、自分たちの「G4」を中軸に、さまざまなデジタル機器をつないで使う「デジタル・ライフスタイルの時代」である。
アップル社は、つまりMacは、新しい「G4」というエンジンと、次々と生み出すAVソフト、DVDに至るさまざまなメディア連携により、「デジタルハブ」になりうる、と力説した。
驚いたのは、ソニーのVAIO505との直接比較だった。
ソニーは良い会社だ。しかし、我々は、さらに特別なんだという気迫にあふれていた。
例えば、一見表面的なメガヘルツでは、ソニーのほうが速いように見える。ところが、このように、実際にソフトを走らせてみると、ご覧のように、アップルのほうがはるかに速い。だから、カタログ数字にだまされてはいけない。そういう優れた諸製品を、どんどん思い切った価格で出して行く、とも言った。

太田君と岡野君の対話

太田「スティーヴ・ジョブズの基調講演は9000人は入るというイベントホールに
|立ち見がでるほどでした。満員御礼。WEBやビデオビデオストリーミングで
|見てる雰囲気とまた別でした。生は格別な雰囲気が有り良かったです。」

岡野「印象的だったのはiDVDの紹介のとき、かの有名な「1984」が
> フルサイズで流されたあと、それまでパワフルそのものだったジョブズの
> トーンが少し落ちるんですね、感慨深そうに。」

太田「やっばりそう感じましたか。(^^)
ぼくも2回も『1984』再生して、やっぱり感慨深いんだなあって
思ってたんです。ぼくのハードディスクの中にも入ってます。」

実は、僕もこのCMのことはしばしば耳にしていたが、実際に見るのは初めて
で、ナチスドイツを思わせる、意外と長いものだった。

  あとで、展示会場で、「パワーブックG4」に実際に手で触ったが、たしかに29.8万~39.8万円でノート上で、i-Movieその他により、ホイホイとDV画像が気楽に編集出来るのは魅力であった。
今回、このエキスポに集まったのは、まじゅろさん、TAHITIくん、チョーヤさん、それに私の四人だった。日ざしも温かく、さわやかな一日だった。

(KK西研究所・所長 西 順一郎)