ネイティブシー・リゾートに泊まる
4/28(木)から四泊五日で、奄美大島に初めて行った。
朝1055羽田発のJAL奄美大島行きは、機材到着おくれとかで、半時間遅れの出発。約二時間後の1430ごろ、南国・奄美大島空港に着陸。
これまで沖縄には何回も行くチャンスがあったが、その手前の奄美にはとんとチャンスがなかった。地図で見ると、奄美大島の南部に大きな海峡がある。こんなところは景色が良いだろうな、と永年憧れがあった。
奄美大島(712平方キロ)は、佐渡(854平方キロ)についで日本で二番目の大きな島だと言う。三位が対馬(696)。(ちなみにサイパンが185平方キロ、わが平戸島が一割かた小さくて164平方キロ。壱岐は134平方㌔。)奄美は平戸島の4.4倍もある。道理で、南へ行くのは大変なわけだ。
ホテルは、「プチリゾート・ネイティブシー奄美」という、空港と名瀬との中間に位置する好立地のしゃれた小ホテル。全室オーシャンビューで、申し分ない。
行政的には竜郷町芦徳というところで、すぐ北側に「倉崎ビーチ」という東向き弓なりの見事な砂浜がある。毎日はだしで何回も歩いた。
空港に迎えに来てくれた野崎さんから、レンタサイクルがあると聞いて、よしそれで行こうと決心する。ホテルに常備してあるガイドマップから、この小半島を一周するのが10キロ前後で理想的なことが分かった。
サイクリング
4/29、朝10時。快晴。ホテルからママチャリ二台のうちの一台を半日525円で借りて、いざスタート。道はすぐ長い下り道になり、スピードが出過ぎないように、左右のブレーキを握り握り降りていく。
自転車もずいぶん久しぶりだが、左は海、右は山で、そんなに多くない民家の前をすいすい走っていく。南へ1.7キロでカレッタというリゾートHがあり、そこから西への分かれ道に入る。急な坂を押して上がると、一登りで裏側の龍郷湾側に入る。うまい具合に潮が引いていて、主婦が三人ほど、海草かなにかをゆったりと採取している。
龍天水産の車えび養殖場。浜松のうなぎの養殖場とそっくりで、大きなプロペラが十台ぐらい水をかき混ぜている。
小川にかかる数メートルの小さな橋。かたわらにゴムの木。そこから道は北向きに曲がり、また上り坂になる。抵抗せずに、ゆっくりゆっくり押して登る。時々良い被写体があれば、自転車を置いて何枚か撮る。
空き地のような畑に、一本だけ小さなバナナの木があった。
ホテル・カレッタからそれたこの龍郷湾沿いの道は、民家もまばらで、車も稀に一台くるか来ないかという、まさに「奄美のいなか」。かつてのボラボラもこうではなかったか、とそんな気分に浸りながら歩く。
更に上り坂を少し頑張ると、左に網小屋があり、そこから道は下り道になった。
道沿いに小ロードパークがある。緑に塗られたコンクリートのベンチが何組かあって、展望台になっている。誰もいないから、腰掛からテーブルの上に登って、目の下の海と対岸を撮影する。
かたわらに、黄色に塗られた道標があって、「西郷南洲流てき跡まで11キロ」と書いてある。
このあと、南へどんどん走って、国道58号に出た右に「鶏飯ひさ倉」があった。最初ここでの昼飯を考えていたのだが、まだ時間が早いし、更に南にサーフィンで有名な手広ビーチがあるというので、よしそこまで頑張ろうと、更に先へ。
結局道を間違えて、赤尾木という部落からクレーター湾を北上、ホテルに帰ってきた。一周二時間半。
連日の強風
三日目も天気。ただし南風が昨日から強い。湾の中は白波だ。しかし陸上は平気なので、この日も昨日に続き、同様朝10時から昨日と同じ道をたどる。同じ道でも気分は上々。
今日も再び龍郷湾を南下している途中、ちょっと空模様があやしくなったので、大事をとってホテルへ引き返す。
四日目の5/01は、予報どおりの大雨となった。強い南風は三日間吹きっぱなしで、南側のベランダは雨が打ち付けて開けられない。実はこの日は、最初の予定では、奄美大島の一番南の瀬戸、海峡を観光に行くつもりにしていた。しかし、なぜか気が重くて、キャンセルしたので助かった。
今でも思っているが、奄美大島の一番の見所は、一番南の大島海峡と、その南のカケロマ島ではないか。しかし、冒頭にデータを並べたように、この奄美大島は思ったより大きくて、平戸島の四倍強もあれば、簡単に往復できるものではない。
レンタカーを利用すればいいと思うが、バスの一日利用券がわずか2000円と言われても、実際はなかなかということではないだろうか?
画家・田中一村
5/02、帰る日。さしもの雨も風もやんでべた凪になった。朝1100にホテル発、空港まで送っていただく。途中、奄美パークに「田中一村記念美術館」があるらしいが、今回は残念スキップ。
奄美空港に、この田中一村画伯関連の図書がいくつも並んでいた。その中で一番小さく手ごろな『日本のゴーギャン・田中一村伝』(南日本新聞社編、小学館、1999)を一冊買って帰ろうと手に取ったところ、家内が「それは買わなくて良い。前回同じものを買って、我が家に持ってる」という。
ということで、帰宅してからこの本をじっくり読んだが、東山魁夷と並ぶ(あるいは、張り合う?)この田中一村の真摯な生き方、生きざまは凄い、というか素晴らしい。次回奄美に行くときには、何をおいても、田中一村記念美術館を訪ねなければならない。
奄美で約200枚の写真を撮った。うち、良いのが数枚。最終日の朝撮ったアダン(パンダナス)の実が良く撮れた。
田中一村の生涯の名作の中で、私が一番すきな画が『アダンの木』(昭和48年ごろ)。背景の海と波が素晴らしい。なにか偶然の符合を感じた。
(KK西研究所・所長 西 順一郎)