1999年3月に、福井MGでCF(キャッシュフロー)の話をしたのだが、CFの話を しようとすると、どうしてもMX(=マトリックス)会計の話になってしまう。私 はそもそもシステム屋あるいは学者だと思っているので、実務的にはあまり役に立つ話は出来ない。そのへんはご了承を願いたい。
西研は年末、決算の真っ最中であった。
1983年(昭和58)のお正月から、 PIPS/MX、引き続きマイツール/MXのスタイルで決算をして、もう17年になる。
今回のMX決算でのこぼれ話。
昨年の一二月は、資金繰りがあまり良くなく、月末支給予定の給与を翌月に回 すことが一二度あった。たとえば、1月分の給料の一部を2月に払ったりした。
MX上で、現預金の次繰りが貯金通帳の月末残高にだいたい合わなければいけな いが、それがなぜか100万ほどズレが出た。10~20万のずれはよくあることで珍 しくない、むしろ常態だが、100万、それもちょうど100万合わないというのは、 これは何か理由があるに違いない。
原因はまもなく判明した。うちの役員が、会社から100万円借りて他へ流用し たのに、その仕訳を私が間違えていたのだ。
つまり、
現金 100万 / 銀行口座 100万
とすると、MXの現預金次繰りが合わなくなる。正しい仕訳は、左側(借方)が[現金]ではなくて、[貸付金]でなければならない。会社から個人への貸し付けと なる。このように、マトリックス会計では、仕訳の間違いがすぐ分かる。全体が おかしくなるからである。素人でも、仕訳のミスが即わかるのは最高に便利だ。
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また、こんなこともあった。うちが依頼している税理士が、「中小企業の決算で難しいのは、車の買い換えと何とかだ」と言われたことがある。今回は、その 車の買い換えがあったのだ。
最初は、この場合の経理処理(仕訳)はどうやるのかなぁと思っていたのだが、 実際に、こうではないか、という仕訳を考えて、マトリックスを走らせてみる。
要は、固定資産が増えて、未払金が増えればいいのだが、その未払金も、車代 の一部として借りたカネではなく、三年で返すのは、さらにその上に利子、手数料が付いている。こういった処理を何回か、マトリックス会計ソフトを走らせな がら、シミュレーションしていくと、ついに、なるほどこれだ、というところに、程なく到達出来るのである。
幸い、側に金子さんもいたし、二人で頭を突き合わせて考えたら、なんとかう まく行った。あとで、それを税理士に出したが、何も言われなかったから、たぶ んあれで良かったのだろう。
私のやる決算は、決算といっても、原データをそろえるだけで、面倒な立ち入 ったことはやらない。減価償却や、消費税、保険については、税理士まかせだ。
とは言うものの、そのほかについては、かなり徹底的に精密にやるので、まぁま ぁ九割かたあれで良いかなと思っている。
(KK西研究所・所長 西 順一郎)