7/22~24(月火水)は、山陽大企業M社における「3日間MG」であった。
普通、MGは昭和51年(1976)以来、2日間と決まっている。同社の場合は、ノー残業・定時間内でやるということで、3日間に延びている。初日1~2期、2日目3~4期、最終日5期という割りふりである。
しかも、900~1745まできっかりやらなければならない。私のMGは、できるだけ早くやって、しかも参加者のペースに合わせてやる。そして1日目のカリキュラムが終わるとさっさと早上がりをすることになっている。今回は、それをやってはいけないということで、早く終われば埋め草を考えねばならない。
チーム制はダメ
ごく最近も横浜の会社から、「1日で、しかもチーム制でやれないか?」という問い合わせが来たが、これはノーである。研修の目的があくまでも”効果”である以上、その基本に抵触するような注文は受けられない。
たまに冗談混じりに言うのだが、「MGの唯一の欠点は、2日間かかるということですよ。」
またチーム制の要求は、MGが、もともとチーム制だったそれまでのビジネスゲームの欠点を直して作られたものだけに、これも飲めない。ご要望なら、やってやれないことはないが、やっても気分だけ、効果のないものは勧められない。
幸い、M社の場合は、そういうMGの基本に抵触するものではなく、単に、時間不足から、3日に延ばしてほしいということだったので、問題はなかった。それでも始まるまでは、良い気持のものではない。
一日目
さて、前日日曜、夜2100ごろ、新幹線岡山駅で、東京から直行の金子さんと合流、広島駅の国鉄ホテル、グランヴィアに到着した。
翌朝800にホテルを出て、820ごろ仁保新町のM社教育センターに到着、ただちに6Fの教室へ。
予定では19名の申し込み者だったが、当日2名の欠席で17名3卓。初日は同社技術部のK氏がつきあってくれたので助かった。何分相手はずぶの素人で、未経験者ばかりの17名。(うち女性2名。)
だから第2期のゲーム開始には、私と金子さん、Kさんが各テーブルに貼り付きになった。
普通なら、1400からゲームをやって、1630~1900が第3期、その後はSTRACの講義と経営計画、2000~2100が交流会となるのだが、そんな時間は許されていない。そのため、2期のゲームと決算が済むと、(3期抜きで)即STRACの講義となった。
二日目
2日目朝から、経営計画の立案をして、3期に突入した。3期の中途で中間決算。これも普通なら4期でやるところである。
3期終了後、昼食直後に「ビジネスパワー分析」を入れた。(普通なら4期でやる内容である。)
午後に第4期。案の定時間が余ったので、本当は早めに放免してあげたいのだが、それは駄目だと言うので、この日一日つきあってくれた同社インストラクターのO氏の助言で、ここにも、5期のための経営計画を入れてみた。
三日目 |
最終日は、第5期をやって、後は講義となる。なにしろ、時間が有り余っているので、DC/FC、STRACの話はかなり進んでいる。 |
私の近年の著書で『人事屋が書いた”会計”の本』(ソーテック社)が、第1章STRACの話、第2章マトリックスの話となっているので、これが大会社の副読本にはもってこいである。これを今回のテキストとした。
最終日の午後は、マトリックス会計による練習問題の解き方と、第6表キャッシュフロー分析表、あとは得意の質疑応答とした。
17名の成績は、2日目4期終了時に「1名浮き、1名倒産」といういわば理想的なラッパ型となった。これが5期になると倒産者は急回復し、逆に浮いた一人は沈んでしまって、3人だけが「A++」(自己資本300超)で表彰された。
前日倒産したのは技術系の女の子だったが、最終日は元気はつらつとして、大黒字で回復してきたのでほっとした。
一方、もう一人の女の子は、5期目はどうしても決算が合わず、ふと見ると、マトリックスをもう一枚ゼロから書き始めていたので、「2枚は駄目!」と取り上げて、最初のに再チャレンジさせた。彼女は、その紙の数字をバーッと消しゴムで消したので(参ったな)と思った。涙を流しながら続けている。女の子の涙には、私も弱い。(つい、田中真紀子氏を思い出してしまった。)
しかし、その彼女も、午前中第5期だけで、午後の講義の時には、ケロリとしていたから、私も真からほっとした。
当日の感想文から |
第5期で決算が合わず、涙を流しながら決算したAAさんの感想文。「MGは最初、ちょっと難しい人生ゲームのようだと思っていました。しかし、実際にやってみると、奥が深く、なんて甘い考えをしていたんだと痛感させられました。2期目では要領が分からず、目の前の損益ばかりに気を使っていました。
5期のゲームでは次くりを見越してゲームをするよう、心がけたところ、少々ながら上向きのグラフになったので、嬉しかったです。これから、ああしよう、こうしようと、いろいろやりたいことが見つかったのに、今回はこれで終わるのが残念です。ぜひこれからも続けて行きたいです。 ● 講義について、、。先生のお話は面白くて、楽しかったです。ありがとうございます。 ● 今後について、、、。もちろん再度受講し、これからも続けて賢い頭になりたいと思います。」 ■ |
(KK西研究所・所長 西 順一郎)