MG30周年
MGは、今年2/18~19(土日)の第20回MGフェスティバルで、ちょうど30周年を迎えた。30周年というとワン・ジェネレーション(一世代)で、そのためだろう、最近はMG仲間も二世たちが参加者の中に目立つようになってきている。MGに参加するだけでなく、川口農場の川口千鶴さん、上沢商店の上沢佑基くんなどはいつの間にか成人して、MGのシニアコースに参加するようになってきている。まさに「第二世代」の時代の到来である。
私は昨年のMGFの時から、一年後のMGFが「MG30周年」に該当するのを意識して、30周年こそは、いつも以上に意義深い、盛大なものにしなければならないと考え始めた。記念品も、それらしく特別なものを用意しなければならない。四月から五月にかけ、考え付いたのが、第一回MGF(1986)のときにお呼びした小林茂氏の「人間の原点」を小冊子にして配布するということであった。
第一回MGF
第一回MGFは、昭和61年に、MG10周年を記念して初めて開催した。晴海の東京ホテル浦島に、小林茂・一倉定という当時バリバリの二大巨頭を招いて、皆さんをうならせようという算段である。その記録は、終了後、本にしてソーテック社から出版の予定だったが、支障があって、本にしないうちに、後年小林さんが亡くなってしまった。
その原稿は、常に私のオフィスの片隅にあり、見失ったら大変と、引越しの時などには特に気を遣っていた。
その後、1979年以降のパソコン革命の中でお会いした、ハワイ・オアフ島のJAIMS(日米経営科学研究所)所長のハワード三宅さんが素晴らしかったので、小林・三宅のペアで一冊「Y理論の本」を作ったら良いだろうな、と構想したが、なかなか手が付かず、いたずらに時間のみが過ぎて行った。
今度こそ
この30周年という区切りは、この宿願を果たす、またとないチャンスである。
小林さんの元テープはもはや見当たらない。ただ毎日速記社の大久保さん(『城野宏の戦略三国志』のときの速記者)が起こしてくれた記録があるだけである。
この記録を元に、金子健治さんに新しくワード起こしをお願いして、秋ごろにはきれいにWP原稿に戻すことができた。ただし、一言半句でも間違いや脱落があると小林さんの真意が狂ってしまうので、金子さんと入念に読みあわせを重ねた。
こうして、年末年始に藤沢の川上三光堂印刷に発注し、二度三度のデザイン変更をして、ようやく2/18の30周年に間に合わせることが出来た。
Y理論は全員経営
Y理論は、「MG/MT/皆で」の3M経営のベースになっているわけだが、なかなか普段皆さんに講義できない。STRACやマトリックスならば単なる論理の世界だから説明もたやすい。しかし、Y理論となると、人間観であり、哲学であり、生き方・思想そのものであるから、ちょうどSPの講義が難しいように、なかなかテーマには取り上げにくいところがある。
しかし、西式MGのベースだからこそ、皆さんはMGをやると、その気高い快さがすぐ感じ取れるのである。早く言うと、天上界の考え方なのだ。
私は、この小林さんの講演録を、単に20年前の第一回MGFの再現としてお渡しするのでなく、小見出しに私が小林さんやその他あらゆるチャンスに学んできたY理論の知識や常用語をちりばめて、最高の「Y理論のテキスト」に仕上げることを目指した。字も大きくし、周りの余白も広めに取って、皆さんが線を引き、書き込みをしながら読んでいけるように、ともかく「書き込み式」テキストを狙ったのである。(結果的にはやや余白不足が残念。)
さて、そうやって、印刷所にいたる各方面からのご協力があって、一年がかりの記念品は無事皆さんの手元に届けることが出来た。
以下、私の「Nif-X」への書き込みに対するマイタイさんのレスポンス。
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>●MGFを前に、藤沢の川上印刷(三光堂印刷)から、
>小林茂の『Y理論の原点』が本日入荷しました。我ながら、良い出来。(^_^;
>●中身はもちろん彼の講演を忠実に再録したものですが、
>・前繰りの彼の経歴、
>・次繰りのマグレガーの『企業の人間的側面』(産能大学出版部)からの一部抜粋、
>・また途中の中見出しには、Y理論や小林理論、小林語録の抜粋をちりばめて
>どなたでも、読むだけでY理論にある程度通じ、かつ各社の「マネジメント革新」
>の助けになるように力を入れて仕上げました。小冊子ながら、西研の自信作です。
そうなんですよね、ここが「西式」。戦略三国志も、単なる講演のテープ興し
だけでないところが、わかりやすくておもしろい。
マイタイ 2006/02/17
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北海道からのメール
さて、熱気と興奮のMGFの終了直後、参加者の八谷さんから、下記のようなメールが届いた。
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氏名: 八谷一平
住所: 札幌市中央区
お問合せ: 西先生
先日MGフェスティバルにて頂いた『Y理論の原点』を帰りの飛行機の中で読ませていただきました。心が温かくなり、千歳の冷たい空気の中でも、自分の中に何か希望のようなものを感じ、不思議に思い、また寝る前に読むとまた同じ気持ちになりました。
今日、昼食を食べるときに、また引っ張り出して読んでみました。やっぱり、同じ気持ちになり、この気持ちを自分の仲間と共有したいなぁと思いました。
そこで、これが全員経営を目指すきっかけになれたらと思い、30部ほど購入したいのですが、在庫はまだございますか。
八谷 一平
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八谷君はまだ二十歳台の若者。MG歴も十数期なのに、なんという感受性と素直さだろうか。
垣尾さんも健在
数日すると、こんどは兵庫県の垣尾さんからも。
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INET GATE 題名:『Y理論の原点』が戴きたい 2006/02/27 11:32
西先生、ご無沙汰しています。一宮精工の垣尾 秀雄です。
MGF盛況の内に30周年記念を迎えられました事、おめでとうございました。
私も1992年10月に西先生に初めてお会いして14年にもなるんだと時間の流れの速さに感慨深いものを感じてます。
MGルームは読むだけですが拝見させて頂いてましたが、この度 西先生が書かれて自信作なら是非拝読させて頂きたく思いますので「Y理論の原点」社員にも配布したいと思いますので、50冊お願いできますでしょうか。部数が間に合わないようでしたらお待ちしますのでお願いします。
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一宮精工株式会社 垣尾 秀雄
〒671-4105 兵庫県宍粟郡一宮町
http://ichinomiya-seiko.co.jp
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各地の皆さんからも、あいついで一冊から数十冊にいたるご注文を頂いた。
このほか、小林主義者を自任する仙台市在住の元日産プリンス宮城自動車販売社長の長谷直太郎さんに一冊お送りしたら、立派なご挨拶状を頂いた。これらの的確なご反応は、作者冥利に尽きる。
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(KK西研究所・所長 西 順一郎)