昨年私と共著で『会計はなぜマトリックスがいいのか?』(税務経理協会)を出版した山形の宇野寛さんが、メルマガに、私も知らなかった面白い話を掲載されたので、ご了承を戴き、ここにご紹介します。
■ソフトバンクの孫さんが以前からMG(マネジメントゲーム)をやっていたことは有名な話ですが、「むかし、孫さんと一緒に同じ卓でMGをやった」という方に出会いました。
大分県で土木建築や砕石業の会社を経営している西日本土木株式会社の副会長、隈田照男(くまだてるお)さんです。
■隈田さんとはじめてお会いしたのは昨2005年の9月、私が名古屋でセミナーを開催したときでした。隈田さんは、わざわざ大分県から名古屋まで来てくれたのです。
その頃は私もまだセミナーを始めたばかりで、緊張していたところを一番前の席で盛り上げていただいたのを覚えています。
ではということで、昨年の10月、ちょうど博多でのMGに参加する機会があったので隈田さんの会社に寄ることにしました。
■大分県の豊後(ぶんご)高田市にある本社はとても大きくて立派な建物です。トイレに行ったものの案内された部屋に戻ることができず、受付の方に「私はどこから来たのでしょうか?」と尋ねるほど。(^^;
そのときに隈田さんから聞いた「ソフトバンクの孫さん」の話です。
■孫さんがアメリカから帰ってきてソフトバンクを設立する前の年、博多で西順一郎先生のMGに参加しているんですね。
そして孫さんと隈田さんが同じA卓で戦っていたときです。何期目かで、隈田さんがB卓へ落ちたとき、
☆「隈田さん、逃げたな!」
と言われたというんですね。
■「逃げたな!」
勝ち逃げという言葉がありますが、MGの場合は、売上高PQの多い順にA卓、B卓、C卓、、、とメンバーが決められていきます。一期が終わるごとに卓のメンバーが入れ替わるのですが、たくさん売らないとA卓には残れません。
したがって売り方がうまく、経営センスの良い人がA卓に行くことになります。
■隈田さんが後で孫さんに聞いたところ、孫さんは次のように言いました。
☆「A卓から隈田さんがいなくなるとMGがつまらなくなる。」
つまり、ムードメーカーである隈田さんがいなくなったあとのA卓は、市場(マーケット)が冷え込んでしまい、ゲーム自体がつまらなくなるということだったのです。
孫さんにとって、隈田さんがいないA卓は、魅力がなかったのかも知れませんね。(^^)
■建設土木業でもあり、製造業でもある隈田さんの会社は、当然、原価計算を行なっています。そして原価計算の話題になったときです。
だいぶ前の話ですが、創業者で現在会長である父親の隈田弘樹さんから次のように言われたというのです。
☆「照男、お前の原価は毎回変わるんだな。」
このとき隈田さんは「はっ」となったそうです。
■私はこの話を聞いたとき「なるほど!」と思いました。 まさにこれが儲けるための原価計算です。たくさん作れば原価が下がるという「FC」(全部原価)の弱点をつくスゴイ発言です。
会長である親父さんは、創業当時から「DC」(ダイレクトコスティング)を肌で感じて実行していたのですね。
会社の規模が大きくなればなるほど、「FC」による原価計算をやり出す会社が多い中、隈田さんの会社では、MGを通して、今も会長の教えを経営に活かしているのです。
■博多で孫さんとMGをやった当時は、シャープからポケコン(ポケットコンピューター)が発売されていて、隈田さんは孫さんから購入してこれを使っていました。
ところがある日、突然動かなくなり、壊れたのかと思って孫さんに見せたところ、何も言わずに黙って新品と交換してくれたというのです。
後で分かったそうですが、結局は、隈田さんの使い方が悪かったとか。
☆「孫さんは当時からそんなスゴイ人だったんですよ。」
しみじみと語ってくれました。
■昨年の10月、隈田さんとお会いしてこの話を聞いてから、いつかメルマガで紹介したいと思い続けてきました。今回、隈田さんにお願いして掲載の許可をいただきました。隈田さん、ご協力ありがとうございました。
西日本土木株式会社 http://www.nnh.co.jp/nnd/
1943年(昭和18年) 隈田弘樹個人経営で土木請負操業
1948年(昭和23年) 西日本土木株式会社設立
■ちょっと宣伝
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西日本土木株式会社では「マトリックス会計MX-PRO」を導入し、毎月の実績をマトリックス会計表とMQ会計表で管理しています。
DCとFCの両方で利益計算ができるので、収益構造の本質をつかむことができます。
マトリックス会計の入門編 MX-PROライト版はこちらです。
http://www.its-mx.co.jp/mxpro/mxpro_light.html
●以上、宇野さんのメルマガからの転載でした。
(KK西研究所・所長 西 順一郎)