マトリックス会計とは?
「マトリックス会計」というのは、縦横各25~30項目の表のことである。
縦横25項目程度に整理された勘定科目が並んでいて、この一表だけで、P/L,B/S,C/Fまでを100%表現する。
一枚の中に、B/Sは前繰り・次繰りの二枚入っているので、いわゆる財務諸表が三枚でなく、四枚も入っていることになる。これは、在来型の「右左会計」の遠く及ぶところではない。
表1.両会計の比較対照
右左会計
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マトリックス会計
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財務三表バラバラ | 財務四表が一体化 |
一覧性なく、専門家が必要(理解困難) | 一覧性があり、理解簡単。 |
相互関連性なし | 相互関連性あり |
科目の相互関係、仕訳時のみ | 借方貸方の相互関係保存 |
経営分析複雑 | 経営分析簡単 |
諸口可能 | 諸口不可能 |
学習複雑 | 学習簡単 |
すべての仕訳は見えない | すべての仕訳が見えている |
各表自体のまとまりはよい | 各表の要素は散らばっている |
相互関係明示会計
これまでの右左会計が、仕訳のエントリー時には、左右の相互関係を明示しながら、その時点までで相互関係表示をうち切り、あとは左右バラバラに集計して表示するのに対して、マトリックス会計は、最初の仕訳から最終のアウトプットに至るまで、科目の相互関係を保持し続ける。むしろ「相互関係明示会計」と言ってもいいだろう。
これは、裏返して言うと、最初の仕訳をするときから、最後の表示を意識し、推測して仕訳を考えるものであり、それだけに素人にとっても、玄人にとっても、仕訳を簡単に理解させるものである。
歴史的に、500年前には「マトリックス」(縦横二次元表示)の形式はなく、およそ100年前に現れた新しい数学の形であり、それを二重仕訳(ダブル・エントリー)会計が採用したものがマトリックス会計なのである。
むしろ、本来はマトリックスの形式であるべきものを、歴史的に右左の形にとどめおかれていたと言うのが正しいだろう。
習得
マトリックス会計は一度習得すると実に分かりやすく、便利に使いこなせるものであるし、自社・自組織の財務的あり方が健全であるかそうでないかが誰にも容易に理解できるものであるが、何も知らない人の初見では、ちょっと複雑な表に見えて、圧倒される向きもあるかもしれない。
マトリックス会計を習得し、使いこなす習得の方法は、MGをやるのが早い!
MGをやれば、自らの意思決定の数字がマトリックス会計表上にいかに表現されるかが分かるので、20期程度で使えるようになろう。
参考文献
1.越村信三郎・西順一郎「安全経営してますか?」ソーテック社、S54。
2.R.マテシッチ著 越村信三郎監訳「会計と分析的方法」同文館、S47。
3.越村信三郎「マトリックス原価計算」日経文庫、S52。
4.西順一郎・尾高敏樹「マトリックス会計入門」税務経理協会、H2。